『ライフテープ』を観た!【ある家族のあたたかな記録】

『ライフテープ』の概要

原題/英題ライフテープ
製作年2025
製作国日本
監督安楽涼
時間101分
配給東風

地元にて友人とともに劇映画を制作してきた安楽涼監督による初のドキュメンタリー作品。安楽監督の親友でもあるストリートダンサーでアーティストの隆一と妻・朱香、そしてふたりの息子で約12万人に1人といわれる指定難病「メンケス病」の珀久の3人(+猫のフィガロ)が織りなす、家族の愛に満ちた日々を記録した作品。

『ライフテープ』の予告編

この映画で知ることができること

  • 「メンケス病」という、銅の欠乏によりさまざまな健康問題が生じる先天性代謝異常症の存在
  • 「メンケス病」は約12万人に1人といわれる指定難病である
  • RYUICHI氏(後にRYUFOに改名)のダンスパフォーマンスや音楽活動の一端

この映画の背景

安楽監督はRYUICHI氏や小学校からの幼なじみでラッパーのDEG氏と3人で、『1人のダンス』(2019年)、『追い風』(2020年)、『夢半ば』(2022年)と「セルフフィクション」と言える映画を制作してきた。ドキュメンタリーである『ライフテープ』においてもそんな友人同士という背景が色濃く出ており、監督とこの家族の距離感が感じられる作品となっている。

撮影の経緯として、RYUICHI氏から「家族を撮ってほしい」と連絡があって始まったとのこと。『ライフテープ』は監督が初めて作るドキュメンタリー映画であり、撮影しながらドキュメンタリー映画の勉強も並行してやることになったそうな。

2025年・第16回「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」での上映版に再編集を加えて劇場公開したものである。

『ライフテープ』の感想

正直なところはじめは恐る恐る観た。「難病」という響きに腰が引けていたフシがある。悲しい結末がないかと身構えてしまったわけである。

しかしそこに映るのはひとつの家族のありのままの営みであった。そしてそこには家族の「愛」と「しあわせ」という形のないはずのものがありありと記録されているのである。

筆者
筆者

家族のあまりの強さと、しあわせな様子に泣いた

「メンケス病」を抱える珀久(ハク)くんを支える様子は大変に映る。嚥下も難しいらしく、朱香(あやか)さんがことあるごとに呼吸が苦しげな珀久くんの鼻や口腔内を吸引している。銅が欠乏するため注射も自分たちでしているのだ。夫妻の献身はまさに親から子への無償の愛であり、そしてあまりにまぶしい珀久くんの笑顔には「これこそひとつの確かなしあわせじゃないか」と心揺さぶられるものがあった。

そのような強さを持つ一家だが、出産直後には息子が難病を抱えていた事実に向き合うことがある種のトラウマ的なものになっていたようだ。入院中に日記をつけていた朱香さんはその後読み返すことができなかったが、撮影を続ける中でそれを監督に打ち明けるに至っている。

監督はひたすらありのままを撮り、なにげない日常に捉え、自ら彼らのキズには触れないようじっくりと家族に向き合ったとのこと。監督と家族の関係性があり作られたある一家の稀有な記録であった。

余談

余談だが、撮影から3年ほど経って絶賛公開中の2026年4月には家族3人で舞台挨拶も実現している(更に余談だが、妹ができて珀久くんはお兄さんになったとのこと!)

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