筆者が好きな映画監督、アンドレア・アーノルドによるドキュメンタリー映画である。なんと1頭の乳牛の生涯を追い続けるという異色の作品である。かつてない臨場感で酪農の営みを目撃すべし!
『COW 牛』概要
| 原題 | Cow |
| 製作年 | 2021 |
| 製作国 | イギリス |
| 監督 | アンドレア・アーノルド |
| 時間 | 98分 |
| 配給 | アルバトロス・フィルム |
アンドレア・アーノルド監督が酪農場の一頭の乳牛「ルマ」に4年間密着して完成させたドキュメンタリー。
大規模な酪農場で飼育されているルマの出産シーンから始まり、彼女が仔牛と引き離されたのち、搾乳機につながれたり、放牧され走り回ったり、餌を食べたり、種付けされて再び仔牛を生んだりするさまが一切のナレーションやテキストを廃して酪農場の営みとともに記録されていく。
『COW 牛』予告編
この映画で知ることができること
- 酪農場のありのままの営み
- 牛乳の生産方法と乳牛の生涯
- 我々の生活がいかに非ヒト生物に支えられ、結びついているのかということ
- ドアップの牛の顔面が結構かわいい
この映画の背景
アンドレア・アーノルド監督は、劇映画をメインとして作り続けているイギリスの映画監督である。
2025年日本公開作品『バード ここから羽ばたく』を始めとし、『アメリカン・ハニー』『ワザリング・ハイツ 嵐が丘』といった作品が日本でも公開されているが、どの作品も様々な動物が重要なシーンで出てくるという特徴がある。
幼少の頃から放任されていたアーノルド監督は様々な動物とやや想像を超えた形で触れ合いながら暮らしてきた経緯があり、大人になり動物たちとの触れ合いが減ったなかでよく眺めていた酪農場の牛たちの生活に思いを馳せるうちに着想を得た作品だという。
『COW 牛』の感想
牛の顔面をこんなに至近距離で見つめ続けることがない筆者としてはひたすら新鮮であった。
一切のナレーションやテキストでの説明はなく、ひたすら寄り添って見届けるスタイルも相まって、なんとも臨場感のあるドキュメンタリーである。カメラはルマの目線の高さに合わせてしかと捉えていく。
序盤、仔牛が生まれたかと思えば、早い段階で引き離されてしまいひたすら牛乳を作ってくれるルマたちを見ていると、こういった非ヒト生物たちが人間の生活にいかにつながっているのかを痛感してしまう。
ラストは確かにその酪農の現実にしかと向き合った形であり、職員の方たちが愛情を持って接しているのも伝わっていただけに、一応は予想していたものの、そのあっけなさにどうしてもショックを受けてしまった。

感情に振り回せれては成り立たない産業なんだよな…と実感。そこも含めて見届ける力強い作品…!
ルマには名前がついていたけど、映画用とかではなく一頭一頭名前をつけるものなのかな?と気になったな


