『よみがえる声』の概要
| 原題/英題 | よみがえる声 |
| 製作年 | 2025 |
| 製作国 | 日本、韓国 |
| 監督 | 朴壽南、朴麻衣 |
| 時間 | 148分 |
| 配給 | 「よみがえる声」上映委員会 |
2025年に90歳を迎える在日朝鮮人2世の映画監督・朴壽南(パク・スナム)が、娘の朴麻衣と共同監督をして、膨大なフィルムを復元して、歴史に埋もれた声なき者たちの物語を描き出したドキュメンタリー。
第99回キネマ旬報ベスト・テン表彰式にて両監督が登壇し、文化映画作品賞が授与されている。
『よみがえる声』の予告編
この映画で知ることができること
- 朴壽南監督がこれまでの活動のなかで撮影した50時間分にものぼる未編集の16ミリフィルムの存在と共同監督で娘でもある朴麻衣監督との復元のとりくみ
- そのなかでよみがえる、日本と韓国の歴史にまつわる数多くの貴重な声
- 堤岩里(チェアムリ)虐殺事件唯一の生存者の声
- 九州筑豊など日本の炭鉱に矯正動員された人々の声
- 青松群から筑豊の豊州炭鉱へ重用された在日一世の声
- 韓国の原爆被害者の救援活動に生涯を捧げた方の声
- 三菱重工長崎造船所に動員し被爆した方の声
- 軍艦島の海底炭鉱へ強制動員ののち三菱重工長崎造船所で被爆した方の声 などなど
- 小松川事件を起こしてしまったイ・ジヌと朴壽南監督の往復書簡でのやりとりと事件の背景
この映画の背景
在日コリアン二世の朴壽南監督は1960年代から在日一世の歴史体験を記録する活動に取り組んでいる。そして「言葉で語れない沈黙を伝えるには映像しかない」との想いから1980年代から映像での取材を開始し、制作してきた映画のフッテージが『よみがえる声』のもととなっている。
朴壽南監督フィルモグラフィー
- 『ものうひとつのヒロシマ アリランのうた』(1986)
植民地支配と原爆被爆という二重の苦難を体験した在日朝鮮人一世たちの記録 - 『アリランのうた オキナワからの証言』(1991)
沖縄戦に強制動員された朝鮮人「軍属」と「慰安婦」の実相を描き出す記録 - 『ぬちがふぅ(命果報) 玉砕場からの証言』(2012)
沖縄戦の玉砕(集団自決)の真実と朝鮮人「慰安婦」「軍属」の実相を描き出す27人の証言 - 『沈黙 立ち上がる慰安婦』(2017)
90年代、尊厳回復のために立ち上がった韓国の「慰安婦」の戦いに密着した記録
『よみがえる声』の感想
圧倒的なエネルギーと執念を感じるドキュメンタリー作品である。
長年にわたり在日同胞朝鮮人や植民地時代に日本にわたった韓国人の声を聞き続けてきた朴壽南監督による膨大な16ミリフィルムの記録を、娘である朴麻衣監督がデジタルで復元しようと思い立ちはじまった作品である。10万フィート50時間分にも及ぶ量が倉庫にあったのだとか。まずもってその作業に感服する。
そこに記録されているのは忘れられかけている貴重な声ばかりだ。時代や地域を股にかけ記録されてきたそれらの声は観る側に決して繰り返してはならない歴史を克明に突きつける。その映像からは、言葉だけでは描ききれないハン〈恨〉(はらされることのない無念の思い)が否応なしに伝わってくる。日本としても韓国としてもどうしても残さなくてはならない声である。
是非観てほしいドキュメンタリー映画である。

筆者
冒頭をはじめ、親子のやりとりがちょいちょいあって、ある意味二人の物語という側面もあるゾ。ラストがまたなんともよかった。


