ボスニアの炭鉱、メキシコ・ユカタン半島洞窟内にある泉セノーテと、各国の地下世界を撮ってきた小田香監督による「地下世界三部作」の最終作であり、日本各地の地下世界の記憶を巡る特異な長編ドキュメンタリーである。
『Underground』の概要
| 原題 | Underground |
| 製作年 | 2024 |
| 製作国 | 日本 |
| 監督 | 小田香 |
| 時間 | 83分 |
| 配給 | ユーロスペース、スリーピン |
吉開菜央が、女の姿を借りた「シャドウ」として日本各地の地下世界を旅する不思議ドキュメンタリー。地下鉄、戦争で人々が命を落とした洞穴、山奥の寺の洞窟などなどを美しいフィルム映像と音響で描いていく。
『Underground』の予告編
『Underground』の感想
16mmフィルムによる美しく鮮烈な映像でもって北海道から沖縄までさまざまな場面が映し出される。
予告にもある通り、異空間へダイヴするような感覚になる映像である。
ナレーションや文字情報での補足はなく、それがどこなのかは映画の中では殆ど明らかにならない。印象的な雨水管にはじまり、地下施設や地下鉄、自然洞窟、寺、映画館、ダム湖など多様なロケーションであり、ときにはプロジェクションマッピングのような手法で映像を投影する場面もある。
そして吉開菜央氏が演じる「ある女性の姿を借りた「シャドウ(影)」という存在」がしなやかな実在感を伴って各地を徘徊し(ふつうに生活もし)地下世界の記憶のつながりを感じさせていく。
ほんのりとフィクショナルな、なんとも不思議な没入感に満たされるドキュメンタリー映画であった。

すばらしい映画体験だったゾ…!また観たい〜
おまけ 併せて読みたい小田香監督インタビュー記事
非常に印象的だった『Underground』だが、鑑賞した後にこの映画が気になって監督の意図や想いを知れればとインタビュー記事をいくつか読んだ。どれもおもしろかったので簡単に紹介したい。
NiEW フィルムメーカー小田香インタビュー 他者の声を拾い、遠い未来へ届けたい
2025/2/20の記事。監督の来歴にはじまり、映画作りにおける信念・信条、想いなどが語られるインタビュー。
サンレコ 映画『Underground アンダーグラウンド』における音楽と映像の関係性
2025/3/12の記事。これまでは単独での映画製作を行ってきた小田監督であったが、Undergroundにてチームでの製作を実施。音楽もまた今回はサウンド・アーティスト細井美裕氏に一任している。Undergroundの音に関する対談記事。
GINZA 「人は一人やな」それでも——映画が探る地下と記憶の交差点
2025/3/15の記事。ベルリン国際映画祭のフォーラム部門で上映された後のインタビュー。Undergroundの成り立ちが内容の中心となる。シャドウに対するやや突っ込んだ質問もあったりして興味深い。
元町映画館 Interview vol.22小田香さん(フィルムメーカー)地下か地上かではなく、全てが地続きになっている
2025/4/28の記事。神戸の元町映画館によるインタビュー記事。ベルリン国際映画祭が親イスラエルなドイツ政府の助成によって成り立っていることについて問題になっていた参加を迷っていた話に始まり、Undergroundの成り立ちがメインの話題となっている。





