『A Window of Memories』を観た!【記憶と経験の境界】

ドキュメンタリー映画『A Window of Memories』の感想

『A Window of Memories』の概要

原題/英題A Window of Memories
製作年2023
製作国日本
監督清原惟
時間67分
配給amieeee

ある日、祖母が語る祖母の若き日の話を清原監督が聴き心動かされたこときっかけに作られた作品。母方・父方のふたりの祖母の語るエピソードを彼女たちと共にテキストに起こし、それを祖母たちのことを知らないふたりの俳優が朗読する、という変わったつくりになっている。ふたりの祖母の現在の生活の様子や昔の写真が映し出されつつ、朗読がなされていく。

『A Window of Memories』の予告編

この映画で知ることができること

  • ふたりの女性の90年ほどの人生
  • 戦中・戦後の生活の様子

この映画の背景

  • 清原惟監督が初めてドキュメンタリー的な手法を取り入れた作品
  • 2人の祖母の人生について監督が聞き取り、語り手と一緒に推敲しテキストに起こした
  • これは祖母の膨大な人生を自分で編集してしまうことへの疑問からたどり着いた手法だという

『A Window of Memories』の感想

無二の手法で作られた映画であり、ある女性たちの物語が語られていくさまに不思議と引き込まれていた。

二人の老女それぞれの何気ない日常が映し出され、全く別の空間でふたりの女性が朗読を始める。

監督の祖母ふたりが一度語った口語調のテキストが祖母たちのことを知らない人物が読み上げていく。この構造により、いくらか本人が自分の物語を語るよりも気恥ずかしさや湿度のようなものを取り払った、フラットなフィルターを通して映画を見ている自分の耳に届いたのだろう、などと感じながら観ていた。戦時のエピソードや、人生における悔しかったり虚しくなった瞬間もまた、この構造からか軽やかさを感じられた。

小山薫子氏と坂藤加菜氏の朗読シーンもなかなか印象的である。

ちょっと変わった空間(工事中?)に同居した二人が特に交わることなくそれぞれのパートを読み、それを互いに聴いていたり、読んでいる側ではなく聴いている側にカメラの焦点があっていたり、そこに時折祖母たちの現在の生活だったり昔の頃の写真が挿入されたりと、独特なリズムを形成していた。これまた特異なタイミングで朗読に近づいてくるようにかかるミニマルな音楽も面白かった。

休憩中のカットであろうか、朗読とは関係なく坂藤氏が小山氏に子供の頃の怖くなったエピソードを思い出して語るシーンもあり、朗読するふたりにもまたそれぞれ人生があることを突きつけられるようで不意に映画に奥行きを感じた。

筆者
筆者

ふらっと観に行った作品だったけど、とても良かったな〜

キネマ旬報シアターで鑑賞した。
余談だが早く着いたのでチャイシェイクを注文してみた。季節メニューなどが毎度描かれる黒板の看板がとても良いのである。
チャイシェイク。チャイといつものスジャータアイスで作られていそう。甘くてスパイシー。

監督インタビュー記事も併せておすすめ

興味深い監督インタビューが多いので、併せて読んでいただきたいところ。

完全な余談

この映画のなかで語られる、おばあさんが実質的に工場を切り盛りしていたエピソードを聴いていて先日読んだ書籍を想起した。

筆者
筆者

構成や写真も含めめちゃくちゃいい本なのでおすすめ!

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