パレスチナで継続するイスラエルによるジェノサイド
2023年10月7日、イスラム原理主義組織ハマスによるイスラエル攻撃への報復として、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへの攻撃を開始して以降、ガザ・イスラエル紛争は続き終わりが見えずに多くの人命が失われている。「紛争」とされることが多いがその実態はイスラエルによる虐殺であり、人々が人為的な飢餓に追い込まれるなどあまりに非道な行いが繰り返されている。
ここでは、その実態を知る助けになるドキュメンタリー映画を4つ紹介したい。

2025年に日本劇場公開した作品を紹介していくゾ
- ノー・アザー・ランド 故郷は他にない
- 壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記
- 手に魂を込め、歩いてみれば
- ネタニヤフ調書 汚職と戦争

『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』
パレスチナ人とイスラエル人2名ずつの計4名による共同監督作品。ヨルダン川西岸地区のマサーフェル・ヤッタがイスラエル軍とユダヤ人入植者により襲撃されてきた2023年10月7日以前の状況を4年にわたり記録し続けた作品である。第97回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作。
監督である若きパレスチナ人活動家でマサーフェル・ヤッタで生きてきたバーセル・アドラーと、同い年のイスラエル人ジャーナリストのユヴァル・アブラハームが活動を通して出会い友情を深めていくのだがあまりにギャップのある二人の境遇が非常に残酷に映る。パレスチナの人は絶え間ない命の危険のただなかで必死にその日を生きざるを得ない状況に追い込まれ、イスラエルの人は自由と安全のなかで暮らせているのである。
イスラエル軍は「違法だ」と言い張って無闇に今まさにそこで人が暮らしている家を取り壊し、子どもたちが学んでいたその学校を取り壊し、井戸にセメントを流し込み、水道も破壊する。とんでもない無法な行いが連日繰り広げられ、時には人の命すら平然と危機にさらされるのである。そこで暮らす当事者だからこそのあまりの臨場感と圧倒的な不条理が克明に記録されている、とにかく今見て知るきっかけとしてほしい一作である。

あまりのことに戦慄したゾ…
一方で懸命に生きる人々の意思と、命がけの友情に一縷の希望も感じられた。アカデミー賞の授賞式に2人が無事現れて本当に良かった。
| 原題 | No Other Land |
| 製作年 | 2024 |
| 製作国 | ノルウェー、パレスチナ |
| 監督 | バーセル・アドラー、ユバル・アブラハーム、ハムダーン・バラール、ラヘル・ショール |
| 時間 | 95分 |
| 配給 | トランスフォーマー |
『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』
中東ジャーナリストである川上泰徳氏が2023年10月7日以後のパレスチナとイスラエルの状況を知るべく現地を2024年の7月から8月にかけて1か月滞在してヨルダン川西岸地区とイスラエルを取材し撮影したドキュメンタリー。
アラビア語を繰る川上監督が過酷な状況に追い込まれるパレスチナにおいて人間性を失わずに強く生きる人々や、イスラエルにて虐殺に反対を示す若者やジャーナリスト、パレスチナ人と人間的な関係を築こうとする平和組織のメンバーらと直接対話をしてまさに生の声を聞いていく。
『ノー・アザー・ランド』のその後も描いてるため、ぜひ併せて観ていただきたい一作。

イスラエル側にも取材をしていて主要メディアが偏向報道を徹底してるなかでも、人道的な活動をしてる人もいることがわかったりしたゾ
| 原題 | 壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記 |
| 製作年 | 2025 |
| 製作国 | 日本 |
| 監督 | 川上泰徳 |
| 時間 | 104分 |
| 配給 | きろくびと |
『手に魂を込め、歩いてみれば』
パリに亡命中のイラン人映画監督セピデ・ファルシがガザで暮らすパレスチナ人のフォトジャーナリストであるファトマ・ハッスーナとスマホでのビデオ通話を2024年4月から1年にわたり続けた交流の記録である。
ほとんどスマホの通話画面で構成されている映画である。ぎりぎりの通信状況から伝わる、虐殺の標的となってしまった故郷で笑顔を絶やさないファトマの強さと、徐々に見えてくる疲れや哀しみにひたすら心揺さぶられるものがある。それでも写真を撮り続けたファトマの写真はたくましく生きる人々を美しく写し出していた。

交流の幕切れがあまりにやりきれないよ…
| 原題 | Put Your Soul on Your Hand and Walk |
| 製作年 | 2025 |
| 製作国 | フランス、パレスチナ、イラン |
| 監督 | セピデ・ファルシ |
| 時間 | 113分 |
| 配給 | ユナイテッドピープル |
『ネタニヤフ調書 汚職と戦争』
イスラエルの首相ベンヤミン・ネタニヤフとその妻によるわりとしょうもない汚職が、今の非道すぎるジェノサイドにまで至ってしまった道筋を暴露するドキュメンタリー。
汚職疑惑の捜査としてのネタニヤフ本人や関係者への警察尋問記録の一部が極秘裏に本作の制作チームへリークされたことにより作られたという経緯を持つ作品。
財界やメディアとの癒着、贈収賄、利益供与などの実態が記録されていた、という驚きの内容である。
今のパレスチナでどうにか生きる人々の姿が描かれるドキュメンタリーとして『ノー・アザー・ランド』や『壁の内側と外側』を観ていたこともあり、この権力に取り憑かれたあまりに身勝手な人間の所業を目の当たりにして、憤りとともにどうしようもなくやりきれない想いにとらわれてしまった。

まじで許しがたくなるゾ!でもこれも是非見て多くの人に知っておいてほしい…!
| 原題 | The Bibi Files |
| 製作年 | 2024 |
| 製作国 | イスラエル、アメリカ |
| 監督 | アレクシス・ブルーム |
| 時間 | 115分 |
| 配給 | トランスフォーマー |

おわりに
ということでパレスチナとイスラエルの今を知るきっかけになるドキュメンタリー映画を4本紹介させていただいた。
今まさにジェノサイドの被害を受け続けているパレスチナの現状やイスラエル側で人道的な動きをする人々がいること、そしてそんな状況を作り上げてしまった元凶とも言える人物について知ってほしい。
視聴する機会があれば是非観ていただきたい。

ミニシアターなどでまだ上映する機会あるかもしれんので調べてみてほしい!
ちなみに『ネタニヤフ調書』についてはこれを執筆している時点(2026年3月)で渋谷のシアター・イメージフォーラムでまだ上映しており、2026年4月にも池袋の新文芸坐で上映される。また『ノー・アザー・ランド』についてはソフトが発売している。




