『湯徳章 私は誰なのか』を観た!【台湾の記憶を巡る】

ドキュメンタリー映画『湯徳章 私は誰なのか』の感想

『湯徳章 私は誰なのか』の概要

原題/英題尋找湯德章/In Search of a Mixed Identity
製作年2024
製作国台湾
監督ホアン・ミンチェン リェン・チェンフイ
時間93分
配給太秦

台湾で道路の名前にもなる偉人「湯徳章(トゥン・テッチョン)」。実は台湾でもあまり知られていない彼を、監督たちが彼を知る人物たちに会いに行き、その人物像を明らかにしていくドキュメンタリー。

『湯徳章 私は誰なのか』の予告編

この映画で知ることができること

  • 台湾で公園や道路の名前となっているがあまり知られていない偉人「湯徳章」の激動の人生
  • 「台湾人」のアイデンティティが形成されゆく時代の出来事(1900年代〜1940年代頃の台湾および日本の歴史)

この映画の背景

日本統治下(1895-1945)の台湾に、日本人の父と台湾人の母の間に生まれたミックスルーツの男・湯徳章(1907-1947)の40年の人生を追うドキュメンタリー映画となっている。

彼は4度の改姓をし、警官や弁護士として活躍をし、『二・二八事件』にて混乱の収束に尽力するが最終的に無実の罪により処刑されてしまった人物である。

日本統治からの日本の敗戦により中国に統治され翻弄され続けてきた台湾人のアイデンティティの葛藤が描かれてゆく。

また台湾ではタブー的な扱いであった『二・二八事件』を描く台湾初のドキュメンタリーである。

『湯徳章 私は誰なのか』の感想

非常にワクワクする構成のドキュメンタリーである。

公園に胸像が立っていたり、道路の名前にもなっているが意外なほど知られていないという偉人であり、監督たちが彼を知る人々にあって少しずつその人物像が明らかになっていく。まるで冒険譚のようなつくりである。

そしてそこで紐解かれるのは一人の男の怒涛の人生である。日本統治下の日本に生まれ、父の姓、母の姓、父の実家の姓、そしてまた母の姓へと戻り、台湾から日本へ移り、台湾人だとも内地人だと名乗ったことがある彼が自分が何者かと葛藤し、やがて台湾人のために立ち上がり、そして死んでいくその激動の人生に心揺さぶられた。

そして主人公は彼だけではない。

「よくタクシーの運ちゃんに『湯徳章』ってだれ??と聞かれる」、という青果店の店主が意外なほどキーマンとして活躍するし、アポをとった在野の歴史家は家がゴミ屋敷過ぎてドアがあかずに家から出られなくなってるし、取材に応じてくれない湯徳章の姪に困っていると湯徳章の養子であり彼の甥でもある男性との邂逅を通して彼女までたどり着いたり、さらには日本の親戚にもたどり着き、不思議なほどに話が広がっていく。「湯徳章」本人というよりは彼を取り巻く現代に生きる人々のドキュメンタリーでもある、ドキュメンタリー的な魅力があふれる作品であった。

筆者
筆者

馴染みのない人物のドキュメンタリーながらおもしろかったな〜構成がいいゾ!

1 COMMENT

【2026年】今年映画館で観た映画【随時更新】 | 映画館でよぞうつつ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です