『日泰食堂』を観た!【時代のうねりを受け止める】

ドキュメンタリー映画『日泰食堂』の感想

『日泰食堂』の概要

原題/英題日泰小食 Another Home
製作年2024
製作国日本
監督フランキー・シン
時間83分
配給太秦

香港から船で30分ほどの離島・長洲(チョンジャウ)は緩やかな時間が流れていた。

そこにある小さな食堂「日泰食堂」は島民で賑わっており、島の人々がビール片手にトランプや麻雀に興じている。

しかし香港を巡る情勢の変化はこの島の人にも少しずつ影響を及ぼしていき、さらにはパンデミックも訪れる。

そんな変化をそれぞれの立場と距離感で見つめる人々を追ったドキュメンタリー。

2024年・第29回釜山国際映画祭にて最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。

『日泰食堂』の予告編

この映画で知ることができること

  • 長洲という土地の雰囲気:車の姿がなく、細い路地ばかり。港には多くの船が並び、漁村でもある。
  • 2019年に香港の自治をめぐる大規模なデモの様子
  • コロナ禍の長洲の様子

この映画の背景

  • 監督が長洲出身であり、日泰食堂は馴染みの店である。主な登場人物のひとりであるフェイメイは監督の30年来の友人。
  • この映画では2019年の逃亡犯条例反対デモとその後のコロナ禍における香港と長洲が描かれている

香港の民主化の変遷

時期状況
1997一国二制度開始、高度な自治を約束
2014雨傘運動で普通選挙を要求
2015〜18民主派への圧力が徐々に強まる
2019逃亡犯条例反対デモが民主化運動へ発展
2019条例は撤回されるが抗議は継続
2020国家安全維持法施行
2021選挙制度改革で民主派の政治参加が大幅に制限される
現在民主派政党・市民団体・報道機関の活動は大きく縮小し、政治・市民空間は2010年代前半と比べて大きく変化している

『日泰食堂』の感想

長洲という小さな港町の土地柄とそこに暮らす人々の雰囲気がとてものどかなだけに、そこに静かに侵食していく香港をとりまく時代のうねりに緊迫するものがあった。昨年観た『灰となっても』という香港の映画を思い出さずにはいられなかったのだ。2019年の逃亡犯条例反対でもの只中に身をおいたアラン・ラウ監督のドキュメンタリー作品であり、その激しい弾圧が脳裏をよぎった。今作ではそのデモ自体の激しさはメインでは描かれていないのだが、それを背景に食堂の主・丈(ジョン)さんらが少しずつ影響を受けていくのがありありと伝わってくる。家族のような仲でありつつも世代間のギャップもあり、デモに通うフェイメイらと家でテレビを通してその一端を眺めるジョンさんたちが隔たりをつくり、そして融和していく彼らのその心の動きにしんみりした。

筆者
筆者

監督がフェイメイやジョンさんと距離が近いので、いい雰囲気が出てるドキュメンタリーだった!

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