『プーチンの愛国教室』の概要
| 原題/英題 | Mr.Nobody Against Putin |
| 製作年 | 2025 |
| 製作国 | デンマーク、チェコ |
| 監督 | デビッド・ボレンスタイン、パベル・タランキン |
| 時間 | 90分 |
| 配給 | トランスフォーマー |
ウクライナ侵攻後のロシアにて、子どもたちが愛国プロパガンダに飲み込まれていくさまをひとりの教師が記録したドキュメンタリー映画。第98回 アカデミー賞(2026年)長編ドキュメンタリー賞受賞している作品である。
『プーチンの愛国教室』の予告編
この映画で知ることができること
- 2022年2月から始まったウクライナ侵攻により、ロシアの学校で愛国教育が強いられるようになった
- 学校での愛国教育は撮影され国に提出する必要がある
- 愛国教育に時間を割かれた結果、生徒たちの学力低下が起きた
この映画の背景
- 舞台となるロシア・ウラル山脈のふもとにある小さな田舎町カラバシュはユネスコで認定された世界一汚い町である
- 共同監督で撮影も行ったパベル・タランキンはこの町で生まれ育ち、母校で教員として働いている
- イベントの企画や撮影を担当しており、学校内を自由に撮影できる状況にあった
- タランキンは自らのデスクのある部屋を子どもたちに解放し、卒業生も足を運ぶような関係性を築ける空間を作っていた
- 学校が変貌していく様に耐えられなくなったタランキンは極秘裏にボレンスタインと共同製作を開始する
- 国外脱出したタランキンは現在「外国の代理人」というスパイに指定されている
『プーチンの愛国教室』の感想
学校では愛国心の高揚のために国旗が掲揚される。歴史教師は授業の中で「反対意見を抹殺する重要性」を堂々と子どもたちに説き、「国を愛せないものを寄生虫だ」と言い放つ。手榴弾投げコンテストが開催されるようになり、実銃をまだ幼い子どもたちが触り、兵士の講演では地雷の仕組みや立ち回り、「銃撃戦に巻き込まれたらヘルメットの顎紐を外せ(頭に被弾したとき首を骨折するため)」といった戦場豆知識が教え込まれていく。
「最後」の仕事として卒業式を運営し、子どもたちに全霊のエールを贈ったパーシャ(タランキンの愛称)は、国外に脱出する。彼は映画を撮影したことにより「外国の代理人=スパイ」とされ事実上の国外追放となった。
その様子を、国旗損壊罪やらスパイ防止法やらを声高に推し進める国で観ていることにひたすらに陰鬱な気持ちになってしまった。『はだしのゲン』の1巻にて描かれる学校の様も去来する。愛国を謳い「国民が望む戦争」を作り上げた過去を持つこの国にて、今一度そのことに向き合う必要がある。そのためにも是非観てほしい作品である。

筆者
次第に表情が死んでいく生徒たちの姿の痛ましさといったら…子どもたちの未来をこんな形で奪っていいはずがない。パーシャの勇気を称えたいゾ
卒業式の翌日に消えた教員の存在が、どうか子どもたちが自ら考えるきっかけとなってほしい、そう願ってやまない。

