『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』の概要
| 原題/英題 | ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか? |
| 製作年 | 2026 |
| 製作国 | 日本 |
| 監督 | 塚本晋也 |
| 時間 | 116分 |
| 配給 | キノフィルムズ |
ベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソンが自らの戦争体験と帰還後の葛藤をつづったノンフィクション書籍を原作とした塚本晋也監督による劇映画。18歳で貧困のなか海兵隊に入隊し、1966年にベトナム戦争の最前線へと送られる。帰国後、戦場での恐ろしい記憶に悩まされまともに生活ができず家族とも離れホームレスとして暮らしていた。退役軍人病院で出会ったダニエルズ医師はそんな彼に向き合い続けカウンセリングし救い出そうとする、という話。
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』の予告編
この映画で知ることができること
- 加害者目線での戦争の恐ろしさ=戦争によるPTSDの恐ろしさ
- 「兵士になる」ことは「人間性を破壊される」こと
この映画の背景
- 原作はアレン・ネルソン氏による「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 であり、またネルソン氏の内面に迫る内容のネルソン氏による書籍「戦場で心が壊れて: 元海兵隊員の証言」も参考文献となっている
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』の感想
全く容赦のない戦争加害、そしてPTSDの描写に心がすり潰されそうになりながら見た。
兵士は訓練と実戦の中で兵器として作り変えられるが、それは人間性を破壊されることである。ネルソン氏は最初の殺人で嘔吐する。しかし次第に極限状態の中で相貌が変わり果て感覚が麻痺していく。やがて敵を人間として見なくなり、殺めた人の数も数えられないほどになっていった。復員後も、街のなかの大きめな音であったり臭いによりフラッシュバックが起こる様子はただごとではなかった。
ネルソン氏とダニエルズ医師によるカウンセリングとモノローグによって物語は進行するのだが、劇中「これで終わりかな?」と思ってから二転三転と話が進み、安易な救いは決してないことを突きつけられる。戦争において、被害者はその場で生命を失い、加害者は生涯苦しみを背負うことになるのだ。
ネルソン氏は日本で1000回を超える回数の公演をしてきたそうだ。自身のドキュメンタリー「9条を抱きしめて ~元米海兵隊員が語る戦争と平和」のなかで「日本国憲法第9条はいかなる核兵器よりも強力であり、いかなる国のいかなる軍隊よりも強力なのです」と述べている。

こんな体験をしてそれを伝え続けてきたネルソンさんの9条への想いたるや…!
我々はそんなにも強力な憲法のある国で生きていることに、今一度向き合う必要があるゾ。必見の一作!
日本における戦争によるPTSDの傷跡を映し出したドキュメンタリー映画『父と家族とわたしのこと』も大変おすすめである。鑑賞機会があれば是非観てみていただきたい。


