『戦場0地点』を観た!【戦場の最前線に立つ】

ウクライナのドキュメンタリー映画『戦場0地点』の感想

『戦場0地点』の概要

原題/英題2000 Meters to Andriivka
製作年2025
製作国ウクライナ
監督ミスティスラフ・チェルノフ
時間108分
配給アンプラグド

ロシアによるウクライナ侵攻の最前線をとらえたドキュメンタリー。2023ロシア軍に占領されたアンドリーウカ村の奪還作戦がまさに最前線で撮影された映像や最前線で任務に当たる兵士のヘルメットカメラ、ドローン撮影により記録された作品。

『戦場0地点』の予告編

この映画で知ることができること

  • 2023年のウクライナ軍によるアンドリーウカ村奪還作成の記録
  • 戦場の最前線に立つ兵士の見る光景
  • 戦争の非人間性

この映画の背景

  • 2023年、ウクライナ軍第3強襲旅団の小隊に監督らが同行し撮影されている
  • また兵士たちのヘルメットカメラやドローンによる撮影データも用いられている
  • アンドリーウカ村はウクライナ東部の100人ほどが住む小村だが、激戦地となったバフムトの南約10キロの位置にあり、ロシア軍の補給の要所となっていた
  • この映画の撮影から数年が経ち、現在はウクライナで急速に発展したドローン産業により局面が変化している。ウクライナとロシアで犠牲となる兵の割合が1対8にまで達している

『戦場0地点』の感想

まずもってとんでもなく恐ろしかった。冒頭、鑑賞者はヘルメットカメラの視点でもって塹壕の中に突如入る体験をすることになるのだが、至近距離の爆風には火の粉が混じっておりそれを観て否応なく緊張感した。塹壕で耐え忍び、仲間がやられ、自分もまたいつ撃たれ爆撃されてもおかしくないという極限状態を疑似体験させられることになるのだ。監督が小隊に同行しつつ、軍の分析用のヘルメットカメラの映像を交え、このような凄まじい臨場感が実現しているのである。悲しいかたちで技術の進歩を感じた。

戦地にて同じ隊の仲間と会話し、出身地であったり「禁煙したい」とか「戦地の自分を心配する妻が心配」といった会話の中でちょっとした人物像を知ったりするシーンもしばしば出てくる。それらの人物がことごとく5ヶ月後に別の戦地で亡くなってしまったという。兵士ひとりひとりの人間性や人生の一端に触れ、どうか無事に帰ってほしいと願った直後にナレーションでそのことがさらっと告げられ、いいようのないショックがあった。

アンドリーウカまでの道のりは両サイドを地雷原にされてしまった細長い森(森と言ってもほとんど木は銃弾にさらされカスカスな状態)を少しずつ進む。時には至近距離の塹壕越しにロシア兵と罵倒し合ったり、追い詰めて投降させたりしながら進む。先程まで会話していた仲間が少し前進した先で死んでしまう。アンドリーウカに近づくほどに無造作にロシア兵といくらかのウクライナ兵の亡骸が横たわっており、おそらく顔が見えない映像のみ使われているためかもはやあまり現実味がわかなかったのだが、よく見ればハエがたかっている。そしてついにたどり着いた村は完膚なきまでに破壊されている。行程も目的地も何もかもに、絶望的なものが込み上げてきた。

しかし小隊はそこにウクライナ国旗を掲げる。その写真や映像が希望となるからだ。彼らの勝利は任務の遂行にある。侵略者は領土を奪うだけではなく、時間をかけて言葉と記憶、そしてアイデンティティを奪っていく。ウクライナの人々は「ウクライナ人として生きる」ことをかけて戦うしかない状況に置かれているのである。

理不尽で不均衡な戦いが一刻も早く終わらせなければならない。

筆者
筆者

このウクライナ侵攻もだいぶ長くなってしまったよな…

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