『我々のものではない世界』の概要
| 原題/英題 | ALAM LAYSA LANA/A WORLD NOT OURS |
| 製作年 | 2012 |
| 製作国 | パレスチナ、UAE、イギリス |
| 監督 | マハディ・フレフェル |
| 時間 | 93分 |
| 配給 | 山形国際ドキュメンタリー映画祭 |
デンマークへ移住したパレスチナ難民の監督が、かつて暮らしていたレバノンのパレスチナ難民キャンプ「アイン・ヘルワ」へ里帰りのたびに撮ってきた映像と、かつて父が残してきたホームビデオを織り交ぜ、家族や友人の営み、歴史、難民キャンプの現実と変化を紡ぐ作品。
山形国際ドキュメンタリー映画祭2013インターナショナル・コンペティション部門で大賞に輝いた、パレスチナ・アラブ首長国連邦・イギリス合作のドキュメンタリーである。
『我々のものではない世界』の予告編
この映画で知ることができること
- レバノン南部の難民キャンプ「アイン・ヘルワ」の歴史と人々の営み
特に、監督の祖父、叔父、そして親友アブ・イヤドの3名の視点でアイン・ヘルワの一端が描かれていく - そこで暮らす人々の行き止まりのような停滞した気持ち
- パレスチナへの帰還を夢見る人、パレスチナに対して諦めや憎しみに近い想いを抱いてしまう人の存在
この映画の背景
- アイン・ヘルワはレバノン最大のパレスチナ難民キャンプ
- 現在数万から十万人規模の人々が暮らしている
- 1948年の第一次中東戦争を発端として、赤十字国際委員会によって設置された
- 仮設住宅ではなく、数世代にわたり暮らす恒常的な住宅となっている
- PLO(パレスチナ解放機構)の事務所があり、監督の親友であるアブ・イヤドはそこに所属してIDを発行してもらっていた。定期的にPLOからわずかながら金銭的な補助が出ている。
『我々のものではない世界』の感想
圧倒的に理不尽な目にあった人々が根づき60年近く存在する難民キャンプの様子を目の当たりにすることになる作品である。当事者とも完全な他人とも言えない監督の微妙な距離感による観察眼が、監督の物悲しさというか、寂しさのようなものを滲ませるさまが印象的なドキュメンタリーであった。
すでに亡くなっている祖母の想いを抑えて自らが建てたキャンプの家へとどまる決意をし、祖国への帰還を放棄することをしない祖父。かつて英雄と言われた兄を偲びながら、今は突如キレちらかしたり街なかで戯けて暮らす変わり者として生活する叔父。夢も希望も持てずにどこか鬱屈とすごす若者アブ・イヤド。
彼らにもあり得た多くの幸せな「もしも」の人生を想起せずにはいられなかった。

筆者
アブ・イヤドが口にする、パレスチナへの負の想いは哀しいものがあった…
イスラエルは虐殺をやめるべし!
パレスチナに自由を!


